NZの道路標識がバイリンガルに。マオリ語も表記

石黒さんニュース0623

ニュージーランドの道路標識がバイリンガルになるかも?

英語とマオリ語が併記された道路標識のパブリックコンサルテーションが各地でスタートしています。

「パブリックコンサルテーション」とは、新しい政策や規制が行われる前に、広く国民から意見を募るという手法。そのために、94種類のバイリンガル道路標識が各地に試験的に設置されました。

↓こちらに写っているのは、「学校」を表す“KURA/SCHOOL”の標識。

マオリ語の併用活性化

ニュージーランドでは近年、先住民であるマオリとその文化を守り、広めていく活動が活発になっています。

以前はNZ国歌は英語でしか歌われていませんでしたが、20年ほど前にマオリ語で先に歌い、その後英語で歌うという形に変わりました。

また、一部のマオリ語は英語併記なしで一般的に使用されることもあります。例えば、家族という意味の“whānau”や人々・コミュニティを指す“iwi”などの単語が使われています。これは「ファミリー」や「コミュニティー」という英語をそのままカタカナで使用しているのと同じような感覚かもしれません。

国名を正式にマオリ名であるAotearoa(アオテアロア)に変更するべきという議論も出ています。これにはAotearoa New Zealandとマオリ語と英語を併記する案を支持する人もおり、首相が行うような公的なスピーチでは既に、ニュージーランドのことを“Aotearoa New Zealand”と呼ぶことが増えてきました。

今回、パプリックコンサルテーションが進められている道路標識もその一つ。先にあげた“学校”などもそうですが、歩行者や自転車を表すもの、高速道路で使われる注意サイン、行き先等、地名を表すものなどもマオリ語と英語の併記になり、活用テストが行われています。

地名変更を訴える人も

現在ニュージーランド国内で使われている地名は、英語とマオリ語のものが混在しています。

例えば最大の都市であるオークランドやウェリントン、南島の都市、クライスト・チャーチやクイーンズタウンなどは言わずもがな英語ですが、北島の人気観光地の中には、「ロトルア」や「タウポ」のようにマオリ語の地名が使われている場所もあります。

国名と同じように地名や通り名は、マオリの名前を使うべきという議論もありますが、今回の試験運用では、元々マオリ語のものはそのままで英語名だけマオリ名を併記させるようです。

ちなみに筆者が一番印象に残っているマオリ語の地名は、“Paraparaumu”と“Taumata whakatangi hangakoauau o tamatea turi pukakapiki maunga horo nuku pokai whenua kitanatahu”。

“Paraparaumu”は”オーブンに残った油”という意味。2番目のものは、NZで一番長い地名で“大きな膝を持ち、山を滑り、登り、飲み込んだ“ランドイーター”と言われる男が愛する人のためにフルート(鼻笛)を吹いた場所”という意味。これはなかなか覚えられないですね。これが英語名併記となったらどうなるのでしょうか・・・?

マオリ語にもっと光を

道路標識にマオリ語が使われれば、一般の人の日々の暮らしの中でもっとマオリ語が根付き、マオリ語に対するサポートも広がることになる。

と、このパブリックコンサルテーションに関わる関係者は期待しているそう。そしてマオリ語の併用がさらに一般化されるだけでなく、国外からの来訪者にはユニークな文化をアピールできるのではという狙いもあるようです。

この併記の道路標識に関しては、併記することで当然一つの標識に表示する文字数が多くなるので、いかに短くするがなどの検討も行われていく予定です。

例えば”The Expressway(高速道路)”はマオリ語で“Te Ara Puaki”ですが、 “Ara Puaki”にすると”Expressway”となり、この様に少しでも短くする工夫が考えられています。

道路標識を正式にマオリ語英語併記に切り替えるかは、このパブリックコンサルテーションの結果だけでなく、10月の総選挙でどこが政権を取るかによっても変わってきそうです。

この記事の筆者

石黒
石黒 沙弥
高校・大学時代を過ごしたNZを故郷と愛する。購入するワインは100%NZで、常備しているのはSILENIのソーヴィニヨン・ブラン。マーマイト大好き。歴代彼氏の半分以上がKiwi。
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