シャルドネ|地域や作り手によって七変化する人気No.1白ワイン

シャルドネ

ワインについてあまり詳しくない人でも、「シャルドネ(Chardonnay)」という名前は聞いたことがある人は多いでしょう。

世界的にみても、白ワインの中で人気No.1のぶどう品種です。日本のワイン売り場でも、シャルドネのワインは定番品です。

香りと味わいの特徴は、「良い意味で強い個性がない」ということ。これが幅広い食事との合わせやすさにつながっています。

価格帯はお手頃なものから、特別な日に飲む高級ワインまで幅広くあります。

 

シャルドネは、育つ地域やその環境や作り手によってその味わいが大きく変わることでも知られます。

冷涼な地域では爽やかでスッキリとした印象になり、温暖な地域ではまろやかで南国系フルーツの印象に変化します。

それでは、シャルドネの魅力をすこし深掘りしていきましょう。

様々な地域で育てやすい大人気品種

原産地は諸説ありますが、一説ではフランスのブルゴーニュ地方のマコネ地区、シャルドネ村であると言われています。

ブルゴーニュ地方地図

マコネはやや温暖な気候なのですが、シャルドネはそれよりもっと冷涼な地域でも栽培可能ですし、もっと温暖な地域でもうまく育ちます。

さまざまな気候に対応し、病気やカビにも強いことは、生産者にとってはたいへん好都合だと言えます。

地域や生産者によって特徴が大きく変わる

ぶどうそのものには強い個性がないシャルドネですが、裏返せば、それは、育つ土地や環境の違いがそのまま出るということ。

シャルドネは、気候、土壌、栽培方法が違えば、まったく違う香りになるのが特徴です。

 

つまり、様々なシャルドネの個性の違いを楽しむことに価値があるとも言えるでしょう。

 

シャルドネには、そんな楽しみ方があるんですね♪

生産者は先人たちの知識を受け継いだり、研究や実験、挑戦をすることで、素晴らしいワインを作ろうと切磋琢磨し続けています。

産地の影響を表現しやすい香り

外観も地域により違いがありますが、全体的には黄色がかっていて、熟成が進むとゴールドに変化します。

香りも様々でその特徴は掴みにくいですが、

  • 冷涼な地域・・レモンやライムなどの柑橘類やりんご、ハーブ
  • 温暖な地域・・スターフルーツやかりん、桃や洋梨、アプリコットなどの、まろやかな果実

が感じられます。

更に、樽を使って発酵・熟成させることによって、バニラやキャラメル、マッシュルームやバター、パンなどのニュアンスが強まり、複雑味が加わります。

樽イメージ

シャルドネには総じて酸が多く含まれますが、それは冷涼な地域でより顕著になります。

豊富な酸は素晴らしいワインには欠かせない要素ではありますが、鋭すぎる場合は角を取り柔らかいワインにする為に、リンゴ酸を乳酸菌に変化させる発酵を行う場合があります。

すると途端に柔らかい印象になり、杏仁豆腐のようなまろやかな香りが生まれます。

幅広い食事に合わせられる万能白ワイン

「これから挑戦したい!」という人にも、簡単に楽しんでいただけるるのがシャルドネの特徴。

良い意味で主張が強くないワインなので、合わせられる食事の幅が広いことも魅力の一つです。ダイニングテーブルの上に1本置いておくと安心ですね。

魚介類や、豚肉などの柔らかい繊細な味わいの料理とは特に良く合います。

ムニエル

和食で言えば、天ぷら、豚しゃぶ、焼き魚などとの相性が良いでしょう。

天ぷら

さまざまな個性を持つ世界のシャルドネ

表現の幅がとても広く、一口では魅力を言い表せないシャルドネですが、世界の中での有名な地域の個性をみていきましょう。

フランス、ブルゴーニュ地方

ブルゴーニュ地方地図

フランスのワインの有名な産地の1つがブルゴーニュ地方

ブルゴーニュ地方では白ワインは主にシャルドネが作られています。

そんな中でも、日本人にも愛好家が多いキリッとしたワインが「シャブリ」。ブルゴーニュ地方最北端の冷涼な地域で作られています。

古代は海だったこの地方は、牡蠣の化石が混ざったミネラルの多い土壌。

この土壌の影響を受けたシャブリの特徴は、何と言ってもそのキリッとした鋭い酸にあり、その上品な味わいは他の地域では真似できません。

シャンパーニュ(シャンパン)にも使用される

シャンパーニュ地方地図

フランスのシャンパーニュ地方で作られる「シャンパーニュ」。日本でも非常に人気の高い高級スパークリングワインです。

Champagne

実は、シャンパーニュはふつう「シャルドネ」と、他2種類の赤ワイン用ぶどう(ピノ・ノワールピノ・ムニエ)を混ぜ合わせて作られます(3種類を使わないものもあります)。

世界の富豪を虜にするシャンパーニュにとっても、なくてはならないのが、このシャルドネなんです。

アメリカ(カリフォルニア州)

フランスに次ぐシャルドネの産地は、カリフォルニア地方です。

太陽がさんさんと降り注ぐこの地域では、桃やアプリコットなどの果実に、エレガントな花の香りも感じられます。

チリ

チリのワインの長所はなんと言っても、そのコストパフォーマンスにあります。お手軽価格でありながら、しっかりとした品質が保たれているので、初心者の方でもはじめやすいワインです。

一年を通して日照時間が長いチリのシャルドネは、南国系フルーツの香りが特徴です。

ニュージーランドでも人気品種のひとつで、より果実味が豊か

NZで白ワイン用ぶどう品種といえば「ソーヴィニヨンブラン」ですが、シャルドネも近年人気を集めています。

産地別に見るとNZ最大のワイン産地であるマールボロ地方がシャルドネの3分の1を生産しており、次に北島のホークス・ベイ地方、南島北部のギズボーンと続きます。

NZの豊かな自然を映し出すように、柑橘系やトロピカルフルーツの香りが感じられます。

まとめ

個性がないことが、「個性」。

そんなふうにも言われるシャルドネは、産地によって柔軟に変化していく、変幻自在な品種。世界中のアイドル的存在です。

またNZでは唯一、ほぼ全てのリージョンで栽培に成功している品種でもあります。

是非、産地による味わいの違いを楽しんでみてくださいね。

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この記事の筆者

ボクモワイン
ボクモワイン編集部
ボクモワインの編集部です。ソムリエ岩須の監修の元、ニュージーランドやワインについての情報を執筆&編集しています。

この記事の監修

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
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